この四畳半 狭い箱
夜風はさむ、さむ、さむ、果ても無く
ただラジオ響く『レモン』
常世国(とこよのくに)へ来いと、誰かが
路地は薄暗い、どうも抜けられない
返事はできない、もう期待もしまい
筋書(すじが)き通り、どこか狂っているかい
知るはずもない、全く違うの世界
僕はいない
今日もこの安酒流されへ
霞む花火を見つめて
思ひ出だけが突き刺せ
空の器に成れ
煙に霞し残りき
苦い酒だけ飲み干し
理想は泡と消え行き
願わくは莫愁郷(ぼしゅうきょう)
莫愁(うれなき)の郷(さと)
華やぐ言より、野花一つを
ねぇ、夢かな
『また今度かな』
この伽藍堂(がらんどう)は
百鬼(ひゃっき)の宴(うたげ)へと
いざ行かん莫愁郷
彼岸花、咲き誇ろう
揺れ葦原御霊へとぞ続こう
あの陽を向かおうと、闇へと堕ちようぞ
見下ろすと地蔵の笑顔よ
高らかに笑え、誰もいない
浮世は夢とか、つまらない問題
だがこの身は、もう執着はない
では、美しい良い仕舞
此岸の憂いや遥かかな、金も財布も要らないや
役目を貰ったんだ、前よりマシかな
怠惰な真似は出来んから、出世してみせるさ
再会の日ならば、こう言って「馬頭になったな」
いずこぞ莫愁郷(ぼしゅうきょう)、ただ波間を漂おう
鬼を討つ夢の途、自滅の運命ぞ
揺らぐ灯のもと、影すら劣(おと)ろふ
線香の香とぞ、なぜかそっと
願わくは莫愁郷(ぼしゅうきょう)、三途(さんず)の冷や酒を
干し仰ぐ夕日よ、故郷も無いだろう
ああ、足もとも
陽よ、影絵へと
地蔵の影よ、温もりを
